ひんやりとしたグラウンドに
身を横たえると
秋の空はどこまでも高く
雲の白さは真夏のまま
子供の頃からずっと
この場所が俺の聖地で 戦場だった
ここでこそ 俺は輝き 真に生きてこれた
「ここを去れ!」と 俺に言った誰かは
「どこへ行け!」とは言ってはくれない
俺の人生のすべては
こんなに小さなボールと共に
転がってきた
それが人生のすべてだと 何も疑わず
真っ白なボールにだけは嘘をつかず
ただ ひたすらに 無心で生きてきた
真っ黒に使い込んだグラブも
毎晩 月に向かって振り込んだバットも
大切な俺の身体の一部だった
グラウンドの熱気とスタンドの歓声
宝石のような照明灯の輝き
すべてが脳裏で暴れて 困るのさ
「ここを去れ!」と 俺に言った誰かは
「どこへ行け!」とは言ってはくれない
明日から どこへ行こう
明日から 何をしよう
神様 俺にできることはあるかい?
戦力外通告をされた この俺に